柔らかな色合いの葉を付ける木=鳥取県大山町、大山寺
柔らかな色合いの葉を付ける木=鳥取県大山町、大山寺

 木々の葉が色づき、秋の深まりを感じるようになった。紅葉をより深く楽しむポイントを専門家に聞き、山陰各地の紅葉スポットの見頃やイベント情報を紹介する。(Sデジ編集部・宍道香穂)

▷山陰の紅葉スポット 見頃は?イベント情報や見どころも紹介
 まずは山陰のお薦め紅葉スポットの見頃やイベント情報、見どころを紹介する。8日から天候が不安定になり、雨や風が強まった。山間部では葉が散ったところもある。紅葉前線は山から麓へと移り、市街地の街路樹も紅葉してきている。見頃情報をホームページで発信している所もあるので、出掛ける前にチェックしておきたい。

由志園(松江市八束町波入)
 木々の葉の色づきはもちろん、庭園の池に紅葉が映った幻想的な風景も美しい。13日からは庭園のライトアップを始める。時間は日没~午後8時(土日祝は午後8時半まで)。紅葉の見頃は11月上旬~下旬。

昨年のライトアップの様子

鰐淵寺(出雲市別所町)
 弁慶が修行をしたと言い伝えられる鰐淵寺。参道に広がるモミジ並木が見どころだ。本堂へ続く階段の両脇には真っ赤な葉をつけたモミジが並び、トンネルのようになっている。見頃は11月中旬。

奥出雲おろちループ、鬼の舌震(島根県奥出雲町)
 島根県と広島県を結ぶ2重ループ型道路「おろちループ」の周辺を紅葉が彩る。おろちループからほど近くにある渓谷・鬼の舌震では、あたりに広がる岩々と色とりどりの紅葉とのコントラストを楽しめる。見頃はいずれも11月中旬まで。

2018年の紅葉の様子

浄善寺の大イチョウ(大田市三瓶町)
 大田市三瓶町の浄善寺には樹齢600年以上、樹高約30メートル、幹周約9メートルの巨大なイチョウがある。枝いっぱいの葉が黄色に色づいた様子は大迫力。見頃は11月中旬から12月上旬。

2019年のライトアップの様子

国立公園・大山(鳥取県)
 山陰両県だけでなく、山陽地方や関西方面からも多くの人が紅葉狩りに訪れる。雄大な大山を背景に紅葉を楽しめるほか、登山道では四方を紅葉に非日常的な雰囲気を味わえる。8、9日の風や雨で山の上部の葉が落ち、紅葉は裾野側へ移ってきているとのこと。見頃は11月上旬だが、11月中旬から下旬にかけて山頂に雪が降ると、紅葉の名残と冠雪が同時に楽しめる。

▷美しい紅葉、より深く楽しむには?
 山陰各地で紅葉が見頃を迎えている。より深く楽しむポイントは何か。また、秋になると色づく葉があるのはなぜか。植物生態学を専門に研究している県立三瓶自然館サヒメルの学芸員・井上雅仁さん(50)に話を聞いた。

 そもそもなぜ、秋になると葉の色が変わるのか。井上さんは「色づく前の葉っぱにはクロロフィルという色素が含まれ、緑色に見えます。秋になり気温が低くなるとクロロフィルが分解され、アントシアンという赤い色素が合成されます。そのため、寒くなると葉が赤色に見えるのです」と説明する。
 赤色だけでなく、イチョウなど葉が黄色になる木もある。井上さんによると、葉が赤色になるものと黄色になるものとでは、色づくメカニズムが違うという。
 「葉が黄色になるのは、カロテノイドという黄色の色素の影響です。カロテノイドはクロロフィルと共に、葉が緑色の時期から含まれている色素です。寒くなるとクロロフィルは分解されますがカロテノイドはそのまま残るため、葉が黄色に見えるようになります」。
 赤色になる葉は新たに色素が合成され、黄色になる葉はもともとの色素が残るということか。知らなかった。新しい発見に、植物の奥深さを感じる。

緑、黄、赤のグラデーションに注目すると、紅葉をより深く楽しめそうだ。

 公園の木や街路樹といった身近な木の中で紅葉が楽しめるのは、モミジやカエデ、イチョウ、ケヤキなど。井上さんは「イチョウやケヤキの葉は黄色に、モミジやカエデは赤色に変わります。街路樹としてよく植えられているハナミズキも、きれいな赤色に色づきます」と教えてくれた。身近な公園や道路で、葉の色を見て季節の変化を感じるのも楽しそうだ。

 三瓶山は現在、紅葉の見頃を迎えているという。中でも見応えがあるのが、カエデの一種のウリハダカエデ。井上さんは「同じ木の中に赤色に変わる葉と黄色に変わる葉の両方が付いているため、2種類の紅葉を楽しめます」と説明する。色づく前の緑色の葉と合わせると、1本の木の中に3色の葉を見ることができる。今年は見に行けないが、来年はぜひ行ってみたい。

▷紅葉の撮影に挑戦
 せっかく紅葉を見るなら、その美しさを写真に収めたい。紅葉の美しさを最大限に引き出したベストショットに挑戦しようと、7日、紅葉の見頃を迎えていた国立公園・大山へ足を運んだ。まず向かったのは、桝水高原から大山環状道路に入り、広葉樹のブナが生い茂る二ノ沢と三ノ沢。ブナは色とりどりの葉はもちろん、白い木肌の美しさも楽しめる。

 快晴で絶好の紅葉狩り日和。標高1,000メートルに位置するブナ林は空気が澄んでいて、すっきりと爽快な気分になる。背の高いブナの木々に囲まれ、紅葉の美しさはもちろん、マイナスイオンをしっかりと浴びてリラックス効果も味わうことができた。見渡す限りの紅葉とブナの白く美しい木肌の組み合わせに、息をのむ。

背の高いブナの木々に囲まれ、非日常感を味わう。

 次に向かったのは、大山寺から石畳の参道を上がった大神山神社奥宮。奥宮に通じる登山道は、夏山登山をした人の下山道として人気がある。登山道の両側は紅葉真っ盛り。全身を紅葉に包まれているよう。山道を登っていると、下山する人とすれ違うこともしばしば。「こんにちは」「お疲れ様です」とあいさつを交わす。登山を終え、誰もがすっきりとした表情を浮かべて色とりどりの紅葉を楽しんでいた。

 写真を撮っていて気付いたのは、自然光を利用するときれいな色合いを出せること。同じ構図でも、太陽が雲に隠れている状態と日が差している状態とでは印象が大きく変わる。色づいた葉がなるべく多く画面に入るようアングルを調整しながら、太陽が雲から顔を出すタイミングをじっと狙うと、鮮やかな色合いを撮影できた。

大神山神社奥宮へと続く登山道

 1年のうち1カ月弱しか見られない紅葉。葉の色の変化や冬にかけて次第に葉を落とす落葉樹を見ると、季節の移ろいを感じることができる。紅葉に限らず、山陰には四季折々の美しい自然を楽しめる場所が多くある。せっかく身近に自然が広がっているのだから、たまには時間を取ってじっくりと味わいたいと思った。