岸宏会長ら現役員の解任を議題としたJFしまねの臨時総代会は、議事の進め方で反会長派とみられる出席者との間で紛糾。出席49人のうち、40人が途中退席した。双方の溝は全く埋まらず、本来6月末だった役員改選が半年近くたっても行われない異常事態が続いている。
今回の解任案で、事前に書面で投票した71人は記名式。総会出席者のうち議長1人を除く48人を対象に行われた採決は、これも個々の意思が明確になる起立式だった。
JFしまねの定款では役員の選任を無記名投票、立会人付きとしており、これに準ずるのが妥当だと抗議する出席者の「公正にするべきだ」との声が、扉で閉ざされた会場の外にまで聞こえた。
採決に加わらず退席した美保関地区(松江市)の総代山根和吉さん(58)は、書面による投票が現役員でどう扱われたのか分からないとして「不正があったのではと疑う」と憤る。
岸会長は「解任議案は予算などの議案と同じで、立会人が必要だとの規定もない」などと反論した。
採決手法について、三重県熊野漁協の監事で、組合員による解任請求を取り扱った経験がある佐藤力生さん(69)は「役員選任の規定に準じて行うのが常識だ。嫌がらせなどを怖がり、賛否を決める人が出てくる」と指摘する。
ただ、公職選挙法に基づく選挙の投開票のような厳密なルールはなく、水産庁の担当者は「それぞれの組合で決めること」とする。
組合員の反旗による解任を回避した岸会長は「一日も早く収拾したい」と、役員改選手続きに向かっていく考えを示した。
しかし、途中退席した総代40人が反会長派だとすると、16人の解任賛成票と合わせて、総代の半数近くは岸会長の交代を望んでいるとみられる。新役員を決める12月4日の臨時総代会に向け、予断を許さない状況が続く。
(古瀬弘治)