新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種について、厚生労働省のワクチン分科会は15日、12月1日から全国の自治体で実施することを了承した。当面は米ファイザー製を使い、1、2回目と異なる製品を3回目に打つ「交差接種」を認める。接種タイミングは2回目終了からおおむね8カ月以上を基本とするが、感染状況などを踏まえ自治体の判断で6カ月に短縮することも例外的にできるとしている。
2回の接種を完了した18歳以上の人が対象で、12月にまず医療従事者に接種し、1月から高齢者を中心とした一般に拡大する。予防接種法上の「臨時接種」に位置付けられ費用は無料。接種は任意だが、妊婦以外は接種の「努力義務」が課せられる。高齢者など重症化リスクが高い人や、医療従事者ら職業上の理由で感染リスクが高い人は、特に推奨する。
接種から時間が経過するとともに感染リスクや重症化リスクが高くなることが分かってきたため、3回目接種が必要と判断した。
使用するワクチンについては、海外の事例や有効性や安全性に関するデータを踏まえ、1、2回目に打ったワクチンの種類にかかわらず、ファイザー製や米モデルナ製のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを用いる。ただしモデルナ製は3回目接種の薬事承認を得た後で使用可能になる。英アストラゼネカ製については、さらに検討を進める。
副反応の頻度は1、2回目と同程度で、異なる製品を使っても目立った変化は報告されていないが、国内でも接種後に生じた症状や血中の抗体の量を調べる調査を行い、結果を公表する方針だ。
接種期間は2022年9月30日まで。まだ1度も接種していない人も受けられる。各自治体は今月中下旬から対象者に3回目の接種券を順次送付。受け取った人は、自治体の接種会場などで接種する。来年3月をめどに企業や大学での職場接種も始める。
この日は、5~11歳の子どもを対象とした接種についても議論した。委員からは「全員に積極的に勧めるという方向は慎重にした方が良い」といった意見が出た。今後も諸外国の状況などを踏まえて検討する。