中根千枝先生は、生涯同じ歩調で進まれた。学問も社会的貢献も、弟子への教育と配慮も、着実に軽々とこなされた。私は、東京大で文化人類学を教わったが、ある時、私の同僚を評して「彼女は自分のすべきことをしているからよいのよ」と...