新型コロナウイルスの感染拡大が観光業に逆風となる中、大田市の国立公園・三瓶山への2020年の入り込み客数が19年比8・1%増となった。山麓を登る観光リフトが近年にない人気を集めるなど、3密を回避できる優位性を発揮。市は5月30日に迎える第71回全国植樹祭を追い風にさらなるアピールを図る。 (錦織拓郎)
市によると、20年の客数は51万6400人で、コロナ感染拡大前の19年の47万7500人を超えた。
市全体の20年の入り込み客数は19年度比22・3%減の81万2千人。石見銀山遺跡も同35・5%減の17万1千人となった中、伸びを見せた。
19年の三瓶山は国民宿舎さんべ荘(大田市三瓶町)の大幅改修に伴う長期休館、故障した観光リフト(同)の長期停止が重なり、集客が低迷した側面はあるものの、コロナ禍や18年の島根県西部地震発生前の60万人前後という実績と比較しても落ち込み幅は小さく、市内の他の観光施設と比べると健闘ぶりが目立った。
要因の一つが三瓶山東の原のスキー場跡に残る観光リフト(延長856メートル)の好調ぶりだ。
19年は冬季休業明けの間もない時期に故障。ほぼ稼働できなかったが、20年は4月に運行を再開すると、直近10年間で最高の2万5千人が楽しんだ。
さらに市は19年10月、観光リフト近くに野外型フードコートが開業し、魅力度が増したのも好材料になったと分析している。
楫野弘和市長は、感染リスクの低さが「コロナ禍の中で有利に働いた」と強調。「全国植樹祭がさらに(三瓶の)ネームバリューを高める。自然体験を求める客層にしっかりとした情報発信を継続していく必要がある」と話した。