「花が嫌い」だと裴(ペ)奉奇(ポンギ)さんは話していた。

 「たぶん、その華やかさが、かえって裴さんを悲しい気持ちにさせたのかもしれません」

 裴さんの晩年にずっと寄り添ってきた金(キム)賢玉(ヒョノク)さん(79)はそう振り返る。

 それだけ過酷な道を歩んできたのだ。鮮やかな色彩も、可憐(かれん)なたたずまいも、裴さんの生きざまとは対照的...