水疱性発疹ができた手足口病患者の手(国立感染症研究所提供)
水疱性発疹ができた手足口病患者の手(国立感染症研究所提供)

 夏から初秋にかけて乳幼児を中心に流行する手足口病が、島根県内で季節外れの流行となっている。新型コロナウイルス対策の徹底で夏場の感染者が減り、十分な免疫を獲得しなかった乳幼児が、病原体に触れる機会が増えたことが理由と考えられ、専門家が注意を呼び掛けている。

 手足口病は、手のひらや足、口内に1~5ミリほどの小さな水ぶくれができる感染症。発疹は7~10日ほど続き、38度台の発熱が起こる場合もある。自然治癒を待つのが一般的だが、口内の発疹がひどく飲食できない場合は点滴や入院が必要になる。まれに髄膜炎や脳炎を起こすことがある。

 11月29日~12月5日までの1週間に、県内の定点医療機関(23機関)からの報告患者数は82人で、過去5年間の平均報告者数18・5人の4倍を超えた。1定点の患者数は3・57人で、この時期としては過去10年で最多。5・0人を超えると警報が出る。

 患者の咳やくしゃみのしぶき、便に触れることなどで感染する。県保健環境科学研究所の和田美江子・感染症疫学部長は「子どものおむつ交換の後など念入りに手洗いして」と呼び掛ける。

 手足口病と同じウイルスが起こす夏風邪の一つ、ヘルパンギーナも増加傾向が続く。高熱と水ぶくれを伴うのどの痛みが主な症状で、手足口病と同様に手洗いとうがいの励行が予防に重要という。
     (増田枝里子)