コロナを越えて~ニュース現場発、日本経済の論点
 賃金上昇率と起業者増 成長の鍵

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西懇話会の定例会が14、15の両日、浜田、益田両市内であった。共同通信社経済部長の宮野健男氏(53)が「コロナを越えて~ニュース現場発、日本経済の論点」と題して講演。賃金上昇と起業者増加が経済成長の鍵になると強調した。要旨を紹介する。

 岸田政権発足以降、成長と分配の両立が声高に叫ばれてきた。日本の平均賃金は30年間横ばいが続き、先進国の中でも下位の水準に落ち込んでいる。賃金が上がらなければ、消費喚起もできずデフレ脱却もままならない。

 20~30代は活力ある有能な人材が多く、自己投資も惜しまないが、先行きへの閉そく感が強まっている。適切な労働対価と裁量を与えることが社会全体で求められている。

 主要企業の顔ぶれが変わらないことも日本経済界の課題だ。諸外国では、けん引役になる企業が次々と現れている。日本は起業とスタートアップの育成にもっと力を入れなければならない。

 大切なのは業種をまたいだ人材の流動性を高めることだ。国内で多い業種内転職では、画期的なビジネスの種を生み出しにくい。日本人にも有能な人材は多く、必要なスキルや知識を学び直す機会を設けることで起業者を増やし、成長戦略の礎としていくべきだ。

 2022年の経済動向を考えると、半導体不足や新型コロナ禍のサプライチェーン(供給網)の混乱に加え、円安を背景にした原料費高、原油価格の高騰など不安定要素は数多い。コロナ禍で需要が失われ、回復が完全に見込めない業態もある。

 ただ悪影響をいつまでも新型コロナのせいにできる状況ではない。日本経済が抱える低成長の構造的問題の解決が強く求められる。

     (村上栄太郎)