東京電力福島第1原発事故の発生から5日目を迎えた2011年3月15日午前5時35分、首相の菅直人は東京・内幸町の東電本店に乗り込んだ。首相公用車に同乗した寺田も菅と共に本店2階の対策本部に案内され、馬てい形のテーブルに陣取る会長の勝俣恒久ら東電幹部と向かい合った。

 「菅さんの斜め後ろに座った。すると、菅さんが立ち上がり話を始めた。『撤退は許されない。撤退したら東日本は終わりだ。60歳以上の職員は全員現地に行く覚悟でやってほしい。自分も行く。撤...