クリスマスが近づく中、島根県邑南町の園児と、本場フィンランドのサンタクロースが14日、オンラインで交流した。「なんで赤い帽子をかぶるの」など、園児約100人からの鋭い質問や予想外の質問に、サンタは本場仕込みの対応力を見せた。何と答えたのか?サンタと園児のやりとりを紹介する。(邑南通信部・糸賀淳也、Sデジ編集部・吉野仁士)
邑南町は東京パラリンピックのフィンランドのゴールボール代表合宿誘致に取り組んだ縁で、交流を続けている。サンタとの交流イベントは、町教育委員会生涯学習課が企画し、町内の8保育所とフィンランド・ロヴァニエミ市を、ビデオ会議システム「ZOOM(ズーム)」でつないで実現した。
園児からは「なぜ夜に来るのか」「どうやって空を飛んだり、大量のプレゼントを用意したりするのか」といった、小さな子どもたちが謎だと思っている質問が次々に投げ掛けられた。サンタと園児のやりとりは、次の通り。

―サンタさんは何を食べますか。
「ここでは木の実がたくさんできるんだ。ブルーベリーとか果物が好きなんだ。体にいいものがね。日本に行った時には天ぷらとか食べたよ。もう一つ、クリスマスに必ず食べるのはミルクがゆだね。これも大好きなんだ」
―どうやって空を飛ぶの。
「赤鼻のトナカイ、ルドルフ君を知っていますか。彼が飛び方を知っていて、それで空を飛べるんだ。だからどうやって飛ぶかは私も知らないんだけど、彼のおかげで空を飛べるんだ」
―どんなおうちに住んでいるの。
「森の中で、木を切って組んだログハウスという大きな家に住んでいるよ。丸太の家はとても暖かくていいんだ」
ーなんで赤い帽子をかぶっているの。
「心も体も暖かくなるからなんだ。森の中にいてもよく分かるしね。赤は心と体を暖かくしてくれるし、幸せを呼んでくれる色なんだよ」
―どうしてそんなに立派なひげを生やしているの。
「私はおじいさんで、年を取るごとに長く伸びてきた。このひげがあるととても暖かいんだ。それで伸ばし続けていたら、こんなに長くなったんだ」
―なんでみんなが寝ている時に来るの。
「私がいるフィンランドは今、朝なんだ。日本は夕方だね。国によって時間が違うんだ。たまたま日本に行くときには夜になってしまうんだ。国によって時間が違うと知っておいてね」
―クリスマスツリーの飾りでどんなのが好きですか。
「いろいろ飾ってあるのが好きだよ。日本の皆さんから折り紙で作った飾りをたくさんもらっているよ。みんな上手だよね。これをクリスマスツリーに付けるのが好きだよ。
―好きな人は誰。
「何よりも大切なのは、みんなのような世界中の子どもたちだよ」

―女性のサンタはいますか。私にもなれますか。
「サンタは世界で私一人です。世界で唯一の存在なんだ。でも、私をお手伝いする妖精にはなれるよ。妖精のトントゥになってくれないかな」
―お友達はいますか。
「皆さんのように世界中にいる子どもたちが友達だよ。それから忘れちゃいけないのが、トナカイさんたちだよ」
―夏は何をしているの。
「夏の間は休みを取りながら少しずつクリスマスに向けた準備をするんだ」
―どうやってたくさんのプレゼントを用意するの。
「サンタにはお手伝いの妖精のトントゥがたくさんいるんだ。夏からもうクリスマスの用意をし始めるし、妖精の助けがあってクリスマスイブに間に合うように用意できるんだよ」
―煙突がなくてもおうちに入れるの。
「もちろんなくても行けるよ。でもね、方法は秘密だよ」
―誕生日はいつですか。
「いつでしょう」
―クリスマス!
「正解です」
―好きな歌は。
「クリスマスにまつわる歌が好きだよ。特に日本の皆さんも好きだと思うけど。トナカイさんの歌が好きだよ」
―何歳ですか。
「いい質問ですね。答えは覚えていません。何回、クリスマスが来たか数えていて、途中まで数えていたけど忘れてしまった。でも、いつも皆さんのような子どもたちと接しているから気持ちは若いままです」
「今日は皆さんに会えてうれしかったよ。皆さんの顔を見て元気が出た。保育所の皆さん、子どもたちは私たちの未来です。大切に育ててくださっていてうれしいです。ありがとうございます。みんな、今から小学校、中学校と進んでいくと思うけど、常に夢と希望を持って毎日過ごしてね」
サンタは、他の人ならすぐに答えに詰まってしまいそうな質問でも、小さな子どもたちに分かりやすく答えた。服装や家については論理的に話し、空の飛び方やプレゼントを用意する方法といった核心に迫る部分は、トナカイや妖精を持ち出して、絵本の世界のような夢のある話しにする。園児たちは皆、納得した様子で、本場・サンタのコミュニケーション力の高さに驚いた。

今回のサンタの答えは、子どもからクリスマスについて問われた親にとって参考になる。サンタにより親しみを持ち、夢のある子どもでいてほしい。
記者は社内会議での上司の突っ込み、取材相手の逆質問などでたびたび答えに窮する。本場のサンタの会話術には、驚き、感心させられた。皆さんにメリークリスマス!