大阪・北新地のビル火災は、住所職業不詳の谷本盛雄容疑者(61)が、事前に用意したガソリンに放火した疑いが強いとみて大阪府警が放火殺人事件として捜査している。近年相次ぐ密閉空間を狙った放火殺人。実行犯らは20年前に起きた新宿・歌舞伎町の雑居ビル火災に着想を得たように思えてならない。
2001年9月1日未明、歌舞伎町一番街にある5階建て雑居ビル内から出火。3階のゲーム喫茶、4階の飲食店にいた44人が死亡した。犠牲者のほとんどが一酸化炭素中毒、非常階段は入り口付近の1カ所のみ、店の奥の方に逃げ込もうとして煙を吸ったなど、今回の火災と類似点が多い。
当時、全国紙の1年生記者で、電話でたたき起こされた。急行した現場は建物が黒煙に包まれ、衣服に焦げた臭いがしみついた。周辺は暴力団事務所の過密地帯で「手榴弾が投げられたようだ」と証言する人までいた。マスコミ各社は容疑者捜しに心血を注ぎ、さまざまな人物が浮かんでは消えた。
3階は「ゲーム喫茶」と称されるが実態は裏カジノ。4階「飲食店」は風俗店に近い...