島外の文通相手に送る年賀状や手紙を書くメンバー=島根県知夫村、村図書館
島外の文通相手に送る年賀状や手紙を書くメンバー=島根県知夫村、村図書館

 人口約630人の島根県知夫村の有志が、文通を介した島外との交流事業を始めた。「知夫村あおぞら郵便局」と名付け、日々のつれづれなる思いや、人生のほろ苦い体験など、送られるどんな手紙にも返事を送る試みだ。SNS(会員制交流サイト)を使った手軽なコミュニケーションがもてはやされる中、手書きの郵便が見知らぬ人同士の交流を育みつつある。(隠岐支局・森山郷雄)

 メンバーは、Iターン者を含む村内の20~80代の10人。郵便局で働いた経験がある一人が、手書きの郵便が少なくなったと感じたことを機に始めた。

 島から手紙届くかもー。 写真共有アプリのインスタグラムを通じて、手紙を募ったところ、全国から日々の暮らしや、隠岐との縁をしたためた手紙が来るようになった。友人と死別した体験や原爆の後遺症の苦しみなど人知れず抱えた感情が切々と書かれた内容もあるという。

 「局長」を務める林正己さん(63)は「家族にも言えないことを文字で書くことで救われる心境になるのでは」と推し量る。

 届いた手紙はメンバー全員で読んだ後、手作りした封筒などに知夫里島の風景が描かれたオリジナル切手を貼って返信する。文通相手からは「島の人がどんな人たちか想像しながら読むのが楽しみ」と礼状が届くようになった。

 来島者が旅の感想を投かんする専用ポストの設置を計画中。英語、フランス語やスペイン語に堪能なメンバーもおり、海外との交流も視野に入れている。

 メンバーの一人の団体職員前原洋子さん(53)は「相手の気持ちに寄り添って返事を書くのは頭を悩ませるが、喜びもある。地味だが知夫村のことを知ってもらう活動として続けたい」と話した。

 手紙の宛先は、〒684ー0100、島根県知夫村、知夫あおぞら郵便局。