かご内部に設置した鋼製の人工巣穴
かご内部に設置した鋼製の人工巣穴

 国の特別天然記念物オオサンショウウオが生息する安来市広瀬町西谷の西谷川で、地元保護団体と建設業者が共同で生息環境整備の実証実験を始めた。約1メートルの落差がある箇所に、遡上(そじょう)路の確保と巣穴の機能を兼ねた鋳鉄製の大型かごを設置。組み立て式のため人力で運搬・設置ができ、大がかりな工事を要しないのが利点で、生息調査を続けて有効性を確認する。
       (渡部豪)

 実証実験に取り組むのは「SAN(サン)ーIN(イン)やすぎオオサンショウウオの会」(岩田貴之代表、会員約150個人・団体)と、カナツ技建工業(松江市春日町)。

 かごはL字形で縦1メートル、横2メートル、高さは最大1メートル。鋳鉄製パネルで枠組みし、内部に自然石を詰めて固定する構造だ。石の隙間はオオサンショウウオの幼生の隠れ場所となり、成体の餌となるサワガニや淡水魚のすみかにもなる。

 石積みの中には、軽量な鋼で製作した円筒形の人工巣穴を設置。水平方向にはオオサンショウウオが出入りする通路用パイプ、垂直方向に巣穴内を確認できる窓付き観察用パイプを据え付けた。

 鋳鉄製かごは護岸工事や土砂崩れなどの災害復旧工事現場で使われる一方、水や栄養分が循環する構造のため人工漁礁や藻場礁にも利用される。こうした点に着目したカナツ技建工業が、島根県を通じてオオサンショウウオの会に実証実験を提案した。

 西谷川上流部で12月上旬、関係者16人が集まり作業。現地で採取した石をかごの内部に詰め、護岸とかごの間にも石を積んでオオサンショウウオが移動可能な傾斜30度の遡上路を設けた。

 西谷川は県指定の自然環境保全地域で、同会は流域でオオサンショウウオの生息状況の把握と保護を目的に個体登録や調査を進めている。設置作業中にも幼生を見つけた。岩田代表(40)は「貴重な繁殖地の保全と生物多様性の確保につながればいい」と期待し、視察の受け入れや観察会開催を今後検討する。