ジョウビタキ
ジョウビタキ

  米子東高校2年の楠ゆずはさん(17)が、年に2度の繁殖活動をする冬鳥・ジョウビタキが1度目の繁殖で生まれたひなへの餌やりと2度目の繁殖に向けた巣作りを雌雄が分担して同時進行で行う生態を明らかにした。中学時代から地道に続けた研究。グローバルサイエンスキャンパス(GSC)の2021年度全国受講生研究発表会で高く評価され、最優秀の文部科学大臣賞に輝いた。
 ジョウビタキはスズメ目ヒタキ科の鳥で、体長15センチ程度。主に中国東北部やロシア周辺で繁殖し、日本などに渡って冬を越すが、日本での繁殖も確認されている。あまり研究されていない鳥だという。
 楠さんは幼い頃から鳥の観察が好きで中学時代の2017年、繁殖が確認された鳥取県大山町大山で旅館などに巣箱を設置してジョウビタキの調査を始めた。その結果、1度目の繁殖で生まれたひなへの餌やりを雄が担い、その間に、雌が2度目の繁殖に向けた巣作りを行う生態に気づいた。
 繁殖活動の効率化のためだとみられ「つがいが協力し合って繁殖しているのではないか」と推察する。
 GSCは全国14の大学や研究機関が科学技術振興機構の支援を受けて行う高校生向け教育プログラム。21年度の研究発表会には受講生61人から56件の研究が寄せられ、オンライン形式の審査を経て、楠さんの研究「大山におけるジョウビタキの繁殖生態~繁殖環境と雌雄の役割分担の関係性に着目して~」が文部科学大臣賞に選ばれた。
 14年度から続く研究発表会で山陰両県の高校生の入賞は初めてという。
 楠さんは高校進学後、GSCに参加する広島大の教員の指導を受け、ジョウビタキの研究を深めてきた。「一つ分かると次々に疑問がわいて、やめられなくなる」と中学以来の調査の魅力を語る。今後はジョウビタキの雌が複数の雄と交尾して繁殖するかという「つがい外父性」をテーマに取り組む考え。大学進学後も「生物についての研究を進めたい」と夢を描く。
 (柴田広大)