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海に焼け落ちたトンドやぐらを運び出す島根県隠岐の島町今津の町指定無形民俗文化財「今津のとんど」が15日、今津漁港で営まれた。厳寒の海に飛び込む下帯姿の男衆による豪壮な習俗を見物客が見守り、豊漁や家内安全を祈願した。
とんどは、漁港の一角に高さ18メートルの竹やぐらを設け、正月飾りを詰めた「宝袋(さいふ)」をつるして炊き上げる。午前8時すぎ、火が放たれると、やぐらは40秒ほどで水の中に倒れた。「とんど切り」と呼ばれる男性19人が海に飛び込み、煙や炭にむせながら、やぐらを解体した。
焼けた竹は、結婚や出産といった慶事があった民家に運ぶ習慣で、還暦を迎える男性宅まで威勢のいい掛け声を上げながら走って担ぎ入れた。
とんど切りを務めた、雲南市出身で同町中町の会社員、片寄皓也さん(28)は「体の感覚がなくなる冷たさだったが、地域が一体となった珍しい行事を楽しめた」と話した。
(森山郷雄)