種ショウガの準備をする永戸文江さん(右)=出雲市斐川町出西
種ショウガの準備をする永戸文江さん(右)=出雲市斐川町出西
ありし日に収穫をする故永戸豊さん=出雲市斐川町出西(2019年8月7日撮影)
ありし日に収穫をする故永戸豊さん=出雲市斐川町出西(2019年8月7日撮影)
種ショウガの準備をする永戸文江さん(右)=出雲市斐川町出西 ありし日に収穫をする故永戸豊さん=出雲市斐川町出西(2019年8月7日撮影)

 出雲市斐川町出西地区で特産品「出西しょうが」の栽培に向けた準備作業が今季も始まった。生産組合の代表を務め、出雲を代表するブランド産品の一つに育て上げた第一人者の永戸豊さん(享年76歳)が昨秋に不慮の事故で他界。一時は先行きが案じられたが、傍らで長年支えてきた妻の文江さん(76)が「待っている人がいる」と後を継いだ。夫の思いがこもった「地域の宝」を育て、後世に伝える役目を担う。 (松本稔史)

 出西地区は豊かな伏流水に恵まれ、斐伊川が運んだ砂が堆積する。この地で栽培された出西しょうがは繊維が少なく、上品な香りと爽やかな辛みが特長で、豊さんは23年前に農家5戸で設立した出西生姜生産組合の代表に就任。先頭に立ってブランド化に尽力してきた。

 高齢を理由に栽培農家が減る中、豊さんは昨季から近くの農事組合法人などに栽培方法を伝授。新たに生産体制を確立しようとした矢先に交通事故に遭い、昨年9月に亡くなった。

 生産組合に加盟する農家が永戸家のみとなった今季、文江さんは「継ぐのは自分しかいない」と心を決め、3月下旬に種植えの準備作業に着手した。植え付け前の種ショウガを仏前に供えて「守ってほしい」と祈った。

 文江さんによると、今季は豊さんの指導を受けた農業者の協力を得て、計1・2ヘクタールで栽培を計画する。4月下旬から種ショウガを植え、8月から10月にかけて収穫する予定で、例年並みの10トン程度の収量を目標に掲げる。

 市内では出西しょうがを活用した人気の加工品も多数あり、出荷を待ち望む事業者は多い。

 「とても世話好きで他の人のためにも一生懸命な人だった」と在りし日の豊さんの姿を思い出す文江さん。「皆が出西しょうがを待っている。支えてくださる方々の思いも胸に、より良いものを作り、守り伝えたい」と話す。