三江線鉄道公園の看板に使用された自身の写真を見つめ、当時を振り返る三上茂さん
三江線鉄道公園の看板に使用された自身の写真を見つめ、当時を振り返る三上茂さん

 旧JR三江線の口羽駅(邑南町下口羽)と宇都井駅(同町宇都井)を活用した三江線鉄道公園の開園をひときわ喜ぶ男性がいる。三上茂さん(84)=同町下口羽=で、口羽駅が開業した当時から2018年3月末の廃線まで現地の様子をカメラで撮ってきた。公園に設置された看板にも三上さんの写真が使われており「鉄道公園として残してもらえるのはありがたい」と話す。(糸賀淳也)

 地元で生まれ育ち、高校卒業後に建設業を経て旧羽須美村役場に入った。高校時代から始めたカメラの腕を見込まれ、広報写真の撮影を任された。

 三次駅から式敷駅までだった三江線は1963年6月に延伸し、口羽駅が開業。村長から開通式の撮影を依頼され、式敷駅から乗り込んだ。

 口羽駅に到着する手前で車両が止まり、降りて駅まで走り、ホームに入ってくる場面を収めた。歴史的な瞬間に立ち会い「なかなかできない経験をした」と振り返る。

 口羽駅ができてからは周りに公共施設や家が立ち並び、人が増えた。「早く駅に行かないと席に座れないほどだった」といい、多くの三江線利用客がいた光景を鮮明に覚えている。

 人口減少や自動車の普及で客が減り、2018年3月末で廃線となった時は寂しかったが、駅舎が鉄道公園として活用されることは何よりうれしい。

 公園では、開放した駅舎や線路を歩いて景色を楽しんでもらうほか、休日にはトロッコ型車両の乗車イベントが企画される。

 管理、運営するNPO法人・江の川鉄道の依頼を受け、三上さんはこれまでの歩みを伝える写真を提供。

 公園の看板に採用されており、「口羽駅や宇都井駅は他にない貴重な資源。多くの人に歴史を知ってもらえればうれしい」と話し、今後も三江線が走った地域への関心を持ち続けてもらえることを願う。