先生がまた計算を間違えて
指摘するのはいつもあの人 (浜田)松井 鏡子
派手な服着て齢を隠して (出雲)川上 梨花
ゆうべちょんぼし飲み過ぎたかな
(美郷)源 連城
新婚さんは上の空です (浜田)勝田 艶
夫婦喧嘩に負けて出勤 (松江)今井 ヒロ
コロナ対策二転三転 (松江)安東 和実
ふだんできないヤツが気づいた
(出雲)はなやのおきな
OB出してパーはないでしょ (松江)小谷由紀子
しどろもどろの国会答弁 (江津)服部 杏子
解答欄が一つ足りない (雲南)錦織 博子
大発見が伝説となり (益田)黒田ひかり
辞めぬつもりが辞めざるを得ず(益田)可部 章二
目立たぬように出す虎の巻
(埼玉・所沢)栗田 枝
受けた接待高くついたな (出雲)原 陽子
ほかの星ではこれが正解 (安来)木村 修平
付いたあだ名が壊れた電卓 (安来)根来 正幸
チャイムが鳴って今日はここまで
(沖縄・石垣)多胡 克己
チャイムの音も耳に入らず (江津)井原 芳政
同窓会のあるあるトピック (益田)吉川 洋子
なぜか矛先ボクに向けられ (出雲)山根 繁幸
孫の後からできた末っ子 (松江)桃屋 壽
いつか貰えるイグノーベル賞 (出雲)飯塚猫の子
気づくかどうか試したんだよ (出雲)岡 佳子
専門家には相談もせず (出雲)吾郷 寿海
鬼の首取ったような歓声 (松江)川津 蛙
ワシの得意は連歌俳諧 (益田)石田 三章
ありゃ足りないぞコロナワクチン
(東京・八王子)藤江 正
私のことが好きなのかしら (松江)高木 酔子
富岳の力借りてみようか (松江)持田 高行
雲州そろばんプレゼントする (松江)田中 堂太
支払い額はいつも少な目 (美郷)源 瞳子
余談はすごくおもしろいけど(奥出雲)松田多美子
同窓会じゃ今も大モテ (江津)花田 美昭
一万円になった割勘 (出雲)野村たまえ
どうせ使わぬ微分積分 (雲南)横山 一稔
別人格と気色ばむ父 (雲南)福場 仁一
背中に浴びる生徒の声援 (江津)服部 千恵
リモート授業は字幕で訂正 (安来)廣江 茂
のどかに笑う分校の春 (松江)水野貴美子
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数学の教師のくせしてからに、なぜこんなに計算を間違えるのか、と不思議に思われたことはありませんか。実は私も、かつてはそう思っておりました。でもよく考えてみると、数学は年がら年じゅう計算をやっている。間違うこともあるでしょうが、他の教科と比べて、母数が桁違いに多い、のです。数学の先生の名誉のために、これはあえて申し添えておきます。
それにしても、一稔さんの「微分積分」―、すごい開き直りですね。実際、たいがいの人は使わないとは思いますが…。
貴美子さんの「分校の春」は、ほのぼのとして温かい。「夏」でも「秋」でも「冬」でもよいようなものの、ここはやっぱり「春」ですね。
学校の先生だけが先生じゃない、という句作りもたくさんありました。あまり多くて、一部だけのご紹介になりました。
◇
次の前句は、
その道中のマ陽気なこと
上方落語の「野崎詣り」なんかで使われる決まり文句ですが、それは気にしないでけっこう。
付句は長句で五七五です。 (島根大名誉教授)
=第2、第4木曜日掲載=
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