3月末で路線バスが廃止となった大田市郊外の久利、大屋両町で8日、高齢者や障害者を対象とした自治会輸送サービスの本格運行が始まった。現地で運行開始式があり、新たな生活の足となる車両の出発を住民が拍手で見送った。
大屋町は人口294人で、高齢化率は市内で最も高い60・5%。久利町は1330人、39・0%。隣接する両町と市中心部を結ぶ石見交通(益田市)の路線バスが廃止となったため、久利町ですでに実施していた自治会輸送事業を、大屋町に拡大することを決めた。
自治会に加入する障害者や75歳以上の高齢者、自家用車を所有していないなど条件を満たす町民を対象に週4回、予約制で自宅から市中心部の医療機関や大型店まで送迎する。年間約60万円の事業費は当面、自治会経費で賄い、有償運行への移行を見据え、NPO法人設立を目指す。
両町は島根県が進める「小さな拠点づくり」のモデル地区でもある。大屋町の大屋まちづくりセンターであった運行開始式で、住民組織・大屋まちづくり推進委員会の安藤彰浩会長(73)は「住みやすい町となるために交通手段確保は最も大きな課題。成果を出せるよう努力したい」と述べた。(錦織拓郎)