旧海軍大社基地跡(出雲市斐川町出西)について、島根史学会と島根考古学会、戦後史会議・松江の3団体が9日、出雲市今市町の出雲市役所を訪れ、戦争遺跡として基地跡の学術調査と保存、活用の3項目を要望した。伊藤功副市長は、跡地を取得した企業の開発計画を見た上で判断するとした。
大社基地は、太平洋戦争末期の1945年6月に、西日本最大級の航空基地として建設された。国が跡地約2万7千平方メートルを売りに出し、今年3月に、出雲市内の企業が購入したことを表明している。
この日は、史学会会長の竹永三男島根大名誉教授ら5人が訪れ、伊藤副市長と杉谷学教育長に要望書を手渡した。
竹永会長は、基地跡の主滑走路や関連施設が良好な状態で残っており、全国的に見てもまれな戦争遺跡とする専門研究者の見解を説明。「文化財保護法の手続きを踏まえて調査を行い、保存へ向け市が主体的に取り組んでほしい」と求めた。
伊藤副市長は、市が跡地を再取得する考えがないことを示した上で、「地元から基地の面影を残してほしいと言う声があることは聞いている。今後の開発計画を見て、市の対応を考えたい」と話し、調査や活用について明言しなかった。(三原教史)