ワクチン接種を受ける入所者(左)=松江市西浜佐陀町、特別養護老人ホーム明翔苑(代表撮影)
ワクチン接種を受ける入所者(左)=松江市西浜佐陀町、特別養護老人ホーム明翔苑(代表撮影)

 65歳以上の高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの接種が12日、山陰両県の他自治体に先駆けて松江市で始まった。同市内の高齢者施設では入所者と職員計50人が1回目の接種を受け、トラブルや副反応はなかった。

 松江市には1950回分(通常の注射器換算)のワクチンが届いており、クラスター(感染者集団)発生時の重症化リスクが高い施設の入所者に先行して割り当てている。14施設975人に2回接種する予定。

 12日は特別養護老人ホーム明翔苑(松江市西浜佐陀町)で希望した64~102歳の入所者43人と施設職員7人が受けた。

 嘱託医師4人と看護師6人が出向き、施設内のホールには本人確認を行う受付や予診室、接種後の副反応の発生に備えた待機所などを設けた。入所者は車椅子やベッドに寝たまま、いずれも落ち着いた様子で医師から体調確認を受け、接種を受けた後は15~30分間静かに待った。2回目の接種は5月10日を予定する。

 武部幸一郎施設長(45)は「家族や親しい人との面会が制限される中、ワクチンで将来的につながりが戻る事を期待して(入所者が)安堵(あんど)している様子だった」と話した。

 松江市では今後、今月23日に入所者以外の高齢者に接種券を配布。5月1日から電話とウェブによる予約受け付けを始め、同10日から集団接種を開始する。(中島諒)