出演者と一緒に寄せられたエピソードについて意見交換する亀尾佳宏さん(右)=雲南市木次町里方、チェリヴァホール
出演者と一緒に寄せられたエピソードについて意見交換する亀尾佳宏さん(右)=雲南市木次町里方、チェリヴァホール

 JR木次線を題材にした演劇に盛り込むため、募集したエピソードが雲南市木次町里方のチェリヴァホールで展示されている。脚本と演出を手掛ける三刀屋高校掛合分校教諭の亀尾佳宏さん(48)は、木次線の思い出や愛着が詰まった物語を読みながら、構想を膨らませる。

 エピソードは県内外から118点が集まった。駅で出征する兵隊を見送った話や、冬になると車内にストーブが置かれ餅やするめを焼いて食べたこと、小学生だけで担任の先生の見舞いに行った冒険譚(たん)など、時代や状況も違う思い出が記されている。

 特に「金の卵」と呼ばれ、高度成長期を担うことになる若者が集団就職で都市部へと出て行く際の話が多数あり、駅で見送る友人から渡された紙テープを握りしめ、どこで手を離そうかと涙に暮れた記憶がつづられた。

 脚本を執筆中の亀尾さんは「その時代を知っている人にとっては懐かしく、知らない人にとっては街と人と木次線の新たな発見になる」と話し、「木次線が生活の一部となるような芝居にしたい」と意気込む。

 展示は4月30日まで。公演はチェリヴァホールで4月29日午後6時と30日午後1時半で、定員は各200人。チケットは全席指定で、高校生以下千円(当日1500円)、一般2千円(同2500円)。問い合わせはチェリヴァホール、電話0854(42)1155。

 (狩野樹理)