山陰に桜前線がやって来る。民間気象会社ウェザーニューズ(千葉市)によると、松江、鳥取とも25日の開花が予想され、間もなく両県が桜色に染まる。各地にある「地元民しか知らない名所」を、地元観光協会などの協力を得て紹介する。初回は島根県編。

「地元民しか知らない」桜の名所とは 鳥取編

大呂のお播き桜=奥出雲町大呂、妙厳寺

 「夜桜」も見事なお播(ま)き桜は、奥出雲町大呂の妙厳寺にある。県内でも随一の古木が春に咲かせる花は、はかなげで美しい。

 麻の生産が盛んだった大呂地区で、麻をさす「お」をまく時期に花を開くことから名がついた。寺が移転した250年ほど前に植えられたものという。品種はエドヒカン。年々早くなる見頃は現在、4月10日頃。今年も開花の時期からライトアップする。

隠岐神社の桜=島根県海士町海士

  海士町海士の隠岐神社境内は、隠岐地方最大の桜の名所。ソメイヨシノの木約150本が、1939年の神社の設立を祝い植樹された。桜が咲く時期は、境内である町民による綱引き大会で盛り上がる。80年以上たった老木は今後、少しずつ植え替える計画という。見頃は3月末から4月頭。

中野の桜並木=邑南町中野

  その様子はまるで「桜のトンネル」。邑南町中野の町道200メートル以上にわたって、道路沿いに植わる約100本のソメイヨシノ。4月上旬になると、空を覆い隠すように花開く。

 桜を「町の花」に制定する邑南町。桜のトンネルの木々も地域住民が手を入れ、美しさを維持してきた。町観光協会によると、桜の名所の多い町内で「知る人ぞ知るスポット」。見頃は4月頭に迎える。