亡き妻を思い、毎年桜の開花を楽しみにする男性がいる。徳岡大勝さん(80)=鳥取県北栄町原=は8年前から自身が所有する山に桜を植え続ける。きっかけは花が好きだった妻の死。供養になればと植樹を始め、今では約100本が花を咲かせる。「俺たち2人が生きていた証を残したい」。数十年後、新たな桜の名所となることを願う。
(坂本彩子)
徳岡さんは約10年前、妻の郁子さんと桜の名所で有名な花見山公園(福島県)へ旅行した。幻想的な世界に2人は心奪われた。「いつか地元に桜の名所を作りたい」という大勝さんの夢を郁子さんは応援したという。
郁子さんと結婚したのは1967年。郁子さんの穏やかな人柄に惹かれ、休日には日本各地の名山や温泉を巡るのが趣味に。いつまでも共に歩めると思った。
しかし、郁子さんは以前患った乳がんを再発。肝臓などに転移し、夢の実現を見ることなく、2014年に亡くなった。
納骨の日、大勝さんは供養として約1ヘクタールの山にソメイヨシノ20本植樹し「大」の字を描いた。その後、雑木や竹やぶを切り、山を整備して「大山望公園」と命名。地道に植樹を続け、いまでは、桜以外にモミジなども鮮やかに山を彩る。
昨年9月の台風で、植樹した木々15本が倒れた。徳岡さんは「天国で他にいい人ができとるかもしれん」と笑い、郁子さんの面影を思い起こしながら片付けた。
今年はジンダイアケボノ30本を公園内に植樹した。「生きているうちは植え続ける。まだ天国には行けん。(妻は)待っていてくれるかな」。目を細めながら、満開の桜を見上げた。
大山望公園の問い合わせは徳岡さんまで、携帯090(2000)8278。












