基礎体温の記録に役立つ婦人体温計とスマホアプリ。婦人体温計は舌の下に挟んで測る
基礎体温の記録に役立つ婦人体温計とスマホアプリ。婦人体温計は舌の下に挟んで測る

 「妊活」って、何からすればいいんだろう。生理周期を登録すれば、排卵日と生理日を予測できるスマートフォンのアプリをダウンロードし、基礎体温を記録することにした。

 基礎体温は、安静な状態のときの体温。正常な排卵があれば、高温期と低温期の二層に分かれ、排卵期に高温期に移る。その変化で排卵日が予測でき、排卵日前後にタイミング(性交)をとると妊娠率が高くなる。

 だが、朝目覚めて体を起こす前に測らねばならず、面倒くさがりの私にはハードルが高かった。同じ時間に計測することが望ましく、折れ線グラフに記入しなければならない。そこで、体温計とスマホを連動させ、体温を記録してくれる婦人体温計を使うことにした。

 排卵日周辺にタイミングをとり始めて3カ月。すぐに妊娠できるとは思っていなかったが、生理が来るたびに「今回もだめだったか…」と落ち込むようになった。排卵はおよそ1カ月に1回。ということは、年12回しか妊娠するチャンスはない。半年たっても妊娠しなければ、病院で検査してもらおうと考えた。

 一般的に、避妊せずに1年以上たっても妊娠しない場合を「不妊」という。「半年」は、早い判断だと思われるかもしれないが、私には不安があった。26歳のとき、子宮内膜症の一種で、卵巣に血液がたまる「チョコレートのう腫」で手術した経験がある。

 激しい腹痛と高熱で病院に駆け込んだとき、親指ほどの大きさの卵巣は10センチにまで腫れていた。即入院、即手術。「卵巣を摘出する可能性がある」と医師に言われたとき、子どもを産めない体になってしまうのか、と絶望した。摘出は免れたが、再発のリスクがあり、手術以降は毎日薬を飲み、女性ホルモンを人工的にコントロールした。

 「子宮内膜症が不妊の原因になることがある」と聞いたことがあり、夫に相談すると、意外な答えが返ってきた。「心配なら今月にでも病院に行ってみようよ。俺も一緒に行くよ」。「え、そんな気軽な感じで? まだ心の準備が…」と、こちらが戸惑ってしまった。夫の後押しがあり、不妊専門のクリニックに行くことが決まった。

 (元山陰中央新報記者・石川麻衣)

 =隔週金曜掲載=

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