主人公が高校卒業を目前にし、そろそろ舞台が本土復帰直前の沖縄から東京へ移るNHKの朝ドラ『ちむどんどん』。小学生の頃に父親が急逝し、借金を抱える家族の経済的な負担を軽くするため、4人きょうだいを代表して家を出る覚悟を決めた場面に涙した人も多いだろう▼結局は思いとどまって家に残り、4人で母親を支えるが、母子が引き離されそうになるシーンを見て、明治時代の口減らしで幼い主人公が奉公に出された往年の朝ドラ『おしん』を思い出した▼ドラマの中だけの出来事だと思いたいものの、現実に母子が引き離される事態が起きている。開始から2カ月半を迎える、ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻。同国の母親の中には、自分が殺され、子どもたちが生き残った際に備え、子どもの体に家族の連絡先を書いている人が多いという。どんな思いでペンを握っているのか。想像するだけで胸が痛む▼きょう5月の第2日曜日は、日本では「母の日」。発祥の米国に倣ったもので、ウクライナも同じようだ。とはいえ、ゆっくりと母親に日頃の感謝の気持ちを伝えることなんて、到底できそうにない▼ちなみにロシアの母の日は11月の最終日曜日らしい。プーチン大統領にとっては隣国の母の日より、あす9日の「対ドイツ戦勝記念日」を前に、一進一退が続く戦況の打開策の方が気になっているのだろう。むなしい。(健)