女性の相談に乗る竹下奈都子さん=東京都内
女性の相談に乗る竹下奈都子さん=東京都内

 心の病、虐待、性被害、自傷行為など、生きづらさを抱える10~20代の女性の悩みを受け止め、救済するNPO法人「BONDプロジェクト」(東京都)の主要メンバーとして、雲南市出身の竹下奈都子さん(32)が奮闘している。活動開始から10年以上がたち、寄せられる相談は多様化し続けるが、「少しでもほっとできる瞬間や前向きな笑顔が増えるように」との思いは変わらない。(白築昂)

 渋谷などの繁華街を歩いて女性に声を掛けるパトロールを続けてきた。あるとき、母親の再婚相手から性暴力を受け、家出後、ネットカフェやSNS(会員制交流サイト)で知り合った男性宅を転々としていた少女から寄せられた相談に乗った。

 話を聞き、一度は保護につながったものの、少女は再び男性の元に戻ってしまった。「求めている『何か』が分からず、必死に探しているよう」。同じような境遇の女性に数多く出会ってきた。

 「家にいたくない。死にたい」「消えたい」。スマートフォンの普及でネット上にも声が増えている。

 無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使った相談には2020年に約2万件が寄せられ、1日の受付時間内では対応しきれない状況が続く。島根県内からの相談も同年は180件に上った。

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 三刀屋高校(雲南市)を卒業後、横浜国立大に進学。社会問題に興味を持っていたところ、後にBONDプロジェクト代表となる橘ジュンさんの活動をテレビで知って参加した。

 中心メンバー8人は実名と顔写真を公開。相談を受けた上で独自のシェルターで保護し、児童相談所など公的機関へつなげる役割を担う。救いを求める多くの声を聞く中で、大学をやめてまでのめり込んだ。

 17年にはSNSで自殺願望をつぶやくなどした女性8人と男性1人を巻き込んだ神奈川県座間市の連続殺害事件が発生。インターネットが若者の相談の受け皿となる反面、悩みにつけ込んで悪用する大人も増えた。「被害者になり得る子どもたちに制限をかけるのではなく、弱みにつけ込もうとする大人たちにどう対策するかが課題だ」と感じている。

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 「家庭、学校どちらにも心の居場所がない子がさらに追い詰められてしまいやすい。一緒に悩み、選択肢を増やしたい」と願う。BONDプロジェクトのLINE相談用IDは「@bondproject」。