菅楯彦の絵を基に再現した貸切露天風呂「風樹の湯」=鳥取県湯梨浜町引地、湖泉閣養生館
菅楯彦の絵を基に再現した貸切露天風呂「風樹の湯」=鳥取県湯梨浜町引地、湖泉閣養生館

 鳥取県湯梨浜町の老舗温泉旅館「湖泉閣養生館」が、貸切露天風呂を1884(明治17)年の創業当時の姿に改装した。倉吉市名誉市民の日本画家、菅楯彦(1878~1963年)が訪れ、描いた絵を基に浴槽や障子張りの窓、脱衣場を忠実に再現した。山枡美鶴社長(57)は「コロナ禍でじっとしていては先がない。リニューアルは挑戦」と話す。

 東郷湖畔の旅館は、白樺派を代表する小説家の志賀直哉など多くの文人墨客に愛された。

 参考にした絵は、18歳の菅楯彦が県中部を訪れた際に描いた絵日記「伯州旅行記」(1896年、倉吉博物館所蔵)の中の1枚で、山枡社長の亡き夫で先代の義人さんが旅館のパンフレットに採用した。

 風呂は東郷湖に面した敷地の一角にある「風樹の湯」。老朽化し建て替えを考えていたところ、新型コロナウイルス禍で休館を余儀なくされた。旅館の歴史を見つめ直す中、成功したり失敗したりと曲折を経て今があると実感し、建築費約1200万円を投じて改装に踏み切った。

 2021年10月に着工し、今年4月中旬にリニューアルオープンした。浴槽は殺菌効果があるとされるアスナロ材を使い、広さは従来の約3倍。竹筒の湯口や温泉の神を祭る棚も再現した。湯面と湖が一体化したような風景が楽しめる。

 日帰り入浴もでき、山枡社長は「昔にトリップしたような良さを味わってもらえたらうれしい」と話す。
      (福間崇広)