今は見かけない8センチシングルのジャケットには叫ぶように開いた男性の口元。小学6年だった28年前、友人から手渡された『イノセントワールド』のCDが、「ミスチル」ことミスター・チルドレンとの出会いだった▼ボーカルの桜井和寿さんがつづる曲は、多感な10代の時期に「先輩」のように背中を押してくれた。ただ、名前が大きくなりすぎたせいか、大学を卒業する頃には熱烈なファンの友人を横目に縁遠くなった▼そんなミスチルを身近に感じたのが2年前。新型コロナの感染拡大前、中日ドラゴンズの春季キャンプ観戦で沖縄を訪れた際だった。球場がある北谷町へ向かうため那覇市をバスで出発すると、見慣れない光景が広がった。広大な米軍基地だった▼ミスチルが2000年に発表した『1999年、夏、沖縄』が頭に浮かんだ。ギターの調べで始まる曲は、桜井さんが94年に初めて沖縄を訪れた描写から始まる。<僕が初めて沖縄にいった時 何となく物悲しく思えたのは それがまるで日本の縮図のように アメリカに囲まれていたからです>。その歌詞の深い意味を実感した▼沖縄は本土復帰50年を迎えたが、国内の在日米軍専用施設面積の7割が集中し、今もアメリカに囲まれたままで、過重な基地負担の解消はなされていない。「2022年、梅雨、沖縄」。節目の15日、沖縄は半世紀前と同様に梅雨の雨に見舞われていた。(目)