記念式典であいさつする黒目益宏会長=出雲市古志町、古志コミュニティセンター
記念式典であいさつする黒目益宏会長=出雲市古志町、古志コミュニティセンター

 出雲市にある神西湖の環境改善を目指し周辺住民らが「神西湖環境回復プロジェクト」を立ち上げた。近年はヤマトシジミが極度の不漁となり、水質悪化が指摘される。湖に注ぐ河川周辺の住民同士が課題や危機意識を共有し、利害関係を超えて湖の再生に取り組む。

 神西湖は汽水湖で、神戸川から分かれる十間(じっけん)川とつながり、差海川から日本海へ流れる。ただ、十間川は別の川との交差地点に水門が設けられた影響で流れが途切れ、農業用水の残り水しか神西湖に流入しなくなったことが、湖内の塩分濃度上昇や貧酸素を招く一因とされる。

 湖内は4メートルあった水深がヘドロなどの堆積で1・5メートル程度と浅くなり、神西湖漁協によると、ヤマトシジミの漁獲量は20年の159トンから21年は71トンと半減以下に落ち込む危機的な状況となっている。

 プロジェクトは、十間川や差海川周辺の住民代表や神西湖漁協の代表者ら17人で構成し、国土交通省出雲河川事務所や島根大研究・学術情報本部の矢島啓教授(57)がオブザーバーで参加する。今後は矢島教授の助言を受けながら、月1回の小委員会で調査活動を行い改善策を考える。

 17日に市内であった設立総会と記念式典で、黒目益宏会長(79)は「住民が郷土を愛する心で人間力を持ってできることから行動したい」と話した。

 式典には飯塚俊之市長や市選出の県議、国、県の関係者が出席し、矢島教授の講演もあった。
      (松本直也)