「二度あることは三度ある」ということわざは、しばしば続く災いに用心せよという戒めだが、度重なると感度は鈍くなりがちだ。    今回もそうならなければいいが。新型コロナウイルスの「第4波」を受け、政府は3度目の緊急事態宣言を東京都、大阪府、兵庫県に発令する方針▼大阪など3府県で緊急事態の前段階で感染を抑える「まん延防止等重点措置」が適用されて半月。吉村洋文府知事は「まん延防止措置では(感染力が強いとされる)変異株の急拡大を十分に抑える力にならない」とし、より強い対策を求めた▼そもそも緊急事態宣言との違いが分かりにくい上、略称の「まん防」がマンボウを連想させて軽い、とやり玉に挙がった。先日リモートで講演した東京都立大の木村草太教授も「まん延防止では、まだまん延していない印象を与える。医療崩壊寸前措置とした方が事態の深刻さが伝わった」と苦言を呈した▼山陰両県も深刻な事態になってきた。関西に近い鳥取では変異株が入り込み、感染者が急拡大。比較的抑制されていた島根でも、隠岐地区で初の感染者が確認されるなど危機感が広がっている。このままでは昨年5月以来となる全国一斉の発令も現実味を帯びるかもしれない▼「これまで大丈夫だったから心配ない」という保証はどこにもない。改めて感染防止策を徹底し、「三度目の正直」で何とか感染を収束に向かわせたい。(健)