近現代の日本文学で重要な位置を占めてきた「私小説」。著者自身の体験に基づく語りが迫力や魅力につながる一方、フィクションと実話の境界が曖昧で、時に論争を引き起こしてきた。破天荒な生きざまを物語に託す作風が時代に合わなくなったとの指摘も。私小説はどこへ向かうのか。

 ▼情けない姿率直に

 今年、初の小説「雌伏三十年」(文芸春秋)を刊行した芸人のマキタスポーツ...