絵本の完成を喜ぶ製作実行委員会のメンバー=島根県隠岐の島町中町、隠岐ジオゲートウェイ
絵本の完成を喜ぶ製作実行委員会のメンバー=島根県隠岐の島町中町、隠岐ジオゲートウェイ

 島根県隠岐の島町の海岸で前脚が網に絡まり衰弱した状態で見つかったアカウミガメと、救出した人々の思いを描いた絵本「リブと海」が完成した。7月にも県内各地の図書館へ寄贈される。絵本製作に携わった人たちは「生き物や海洋ごみを考えるきっかけにしてほしい」と願っている。
 (鎌田剛)

 2020年8月に同町岬町の海岸近くの中学生が見つけ、「リブ」と名付けた雌のアカウミガメが主人公。海洋ごみの網が絡まり、右前脚を失った様子や、救出後に同町津戸のダイビングショップにある水槽で過ごした38日間を中心に、神戸の水族館で回復して海に帰るまでの11カ月を描いた。心配した地元の人が餌のイカやサザエを持ってくる様子、ふんからプラスチックごみが見つかるといったエピソードを盛り込んでいる。

 リブの救出に携わったさまざまな立場の7人が「このままで終わるのはもったいない」と考え、昨年8月ごろ絵本の原案を練り始めた。今年2月に筋書きが完成。見る人を笑顔にさせる似顔絵が得意な同町城北町のイラストレーター中村一夫さん(49)が、あえてシリアスな筆遣いでいきさつを再現した。中村さんは「リブと(救出した)スタッフの思いをイメージ化し、気を使いながら描いた」と振り返る。

 巻末には、救出に参加した島根大隠岐臨海実験所の小野広記助教(35)=形態進化=がリブの生態や骨格を専門的な知識を生かして紹介。同じく救出に関係した環境省隠岐自然保護官事務所の楊木萌さん(29)と山下礼恵さん(32)が海のごみについて解説ページをまとめた。

 絵本(A4判、32ページ)は計2千部を発行し、うち300部は、約200万円の寄付を集めたクラウドファンディングの返礼品にする。残りは県内の図書館や保育園へ贈る予定にしている。ダイビングインストラクターで、絵本製作実行委員会の安部由起代表(43)は「いろいろな人が関わってリブは助かった。一人ではなく、みんなで取り組めばいい世の中に変わる。海のごみ問題も同じではないか」と訴える。