ラジオの生放送で軽快なトークでリスナーとやりとりする森谷佳奈さん=米子市西福原1丁目、山陰放送
ラジオの生放送で軽快なトークでリスナーとやりとりする森谷佳奈さん=米子市西福原1丁目、山陰放送

 NPO法人放送批評懇談会(東京都)が国内の放送文化の質的向上を目指して優秀番組、個人、団体を顕彰する第59回ギャラクシー賞で、山陰放送(米子市西福原1丁目)アナウンサーの森谷佳奈さん(29)=松江市出身=がラジオ部門DJパーソナリティー賞を受賞した。森谷さんは番組でツイッターを駆使し、全国にリスナーを増やした。ラジオのDJパーソナリティーとして新しい可能性を示した森谷さんに放送スタートのきっかけや面白さ、苦労話を聞いた。(米子総局報道部・柴田広大)

【関連記事】山陰放送・森谷さん ギャラクシー賞 ラジオ部門 毒舌交えた軽快トーク

森谷佳奈さん

 森谷さんの生放送番組「森谷佳奈のはきださNight!(ナイト)」は2016年4月にスタートした。「新しい番組を作る」という会社の方針のもと、当時、森谷さんは入社2年目だったにもかかわらず「やりたいことをやりなさい」と言われたのが今の番組作りのきっかけだった。番組ではSNS(会員制交流サイト)のツイッターを導入した。

 ◇新番組選手権でグランプリ

 当初はうまくいかなかったという。山陰放送ラジオのリスナーが40~50代でツイッターの使い方を知らず、投稿がなかったために進行に苦労したという。「番組内で10分を使って操作方法を説明していた」と明かす。

 番組開始直後にTBSラジオの「爆笑問題の日曜サンデー」の企画「全国新番組選手権2016」で取り上げられた。森谷さんが番組でうまくいかなったと感じたところを「面白い!」と言ってもらい、リスナー投票でグランプリを獲得した。ツイッターのフォロワーが一気に1千に達したという。同時にインターネット経由でエリア外のラジオ番組を聴けるアプリ「radiko(ラジコ)」も活用し、地道に知名度を上げた。

 ◇本音や毒舌キャラも

 ツイッターでリアルタイムに交流できる内容が評判を呼び、現在、番組のフォロワーは1万を超えたという。人気が高まり、当初は1時間番組だったが、1時間半、2時間と放送時間が増えていった。

 森谷さんは番組内で受験生にエールを送ったり、恋愛相談には時に鋭い突っ込みや毒舌を交えてユーモアあふれる返事でリスナーの笑いを誘ったりする。夫婦げんかの仲裁にも入り仲直りにつなげたこともあるという。従来のリスナーに加え主婦や学生、カップルに人気の内容になっている。

森谷佳奈さん(山陰放送提供)

 地方局では都市部の放送局とは異なり、制作に携わる人数は少ないが「柔軟にやりたいことができるのが強み」と森谷さん。「あれもしたい」「これもしたい」と自由な発想で企画を実行できるのが強みだ。

 ◇聴くだけから「見るラジオ」へ

 生放送でイタリアン料理に挑戦したこともある。無事に完成させることができるのか、リスナーにハラハラドキドキ感を味わってもらうなど、斬新なコーナーで楽しませてきた。加えて、ユーチューブ内にある番組のチャンネルで生配信し、今までの聴くだけのラジオから「見るラジオ」の形を作り出した。

 番組を担当してきて良かったのは「聴いているよ」との声ももちろんだが、リスナーが会社の社屋を撮影したり、山陰を縦断してくれたりすること。他局のパーソナリティーとも交流が生まれ、つながりも増えた。

 ◇地方から新しい可能性示す

 森谷さんの受賞は、制作に携わるスタッフにとっても大きな喜びだ。番組の開始当初から関わる大村陽一メディア戦略室専門部長(53)は「1人のアナウンサーではなく、1人の女性が話しているのがポイント。やってきたことが認められてうれしい」と話した。

ラジオの生放送で軽快なトークでリスナーとやりとりする森谷佳奈さん=米子市西福原1丁目、山陰放送

 森谷さんの受賞によってこれまでのラジオはパーソナリティーからの一方通行だったのが、SNSを介する双方向の新しいスタイルが見えた。森谷さん自身も固定的なアナウンサーのイメージから、本音を語り一緒に悩む等身大の姿を打ち出し、全国のリスナーに受け入れられた。地方から新しいことにチャレンジする姿は頼もしく、可能性を感じた。