夜空に打ち上がった大輪の花火=米子市西町、鳥取大医学部付属病院(鳥取大学医学部附属病院提供)
夜空に打ち上がった大輪の花火=米子市西町、鳥取大医学部付属病院(鳥取大学医学部附属病院提供)

 【米子】病棟から出られない入院中の子どもたちのために、鳥取大医学部付属病院(米子市西町)が10日、花火を打ち上げた。資金はクラウドファンディング(CF)で募り、多くのサポーターが夏の思い出づくりに協力した。

 花火を思いついたのは、消化器内科の杉原誉明(たかあき)医師(46)。現在、小児病棟には約30人が入院している。治療による免疫低下で感染リスクが高く、ほとんどの子どもが病棟の外に出ることができない現状から、思い立った。6月中旬から7月上旬までCFで資金を募ると、当初の目標金額80万円を大きく上回る470万円が集まった。

 10日夜、病院敷地内から10分間にわたって350発の花火が打ち上げられ、夜空を彩った。小児病棟に入院する18人は特別観覧席に集まり、歓声を上げた。

 3年前から入退院を繰り返す広森茜さん(15)は「スマホでたくさん写真を撮った。夏を感じることができた」と笑顔だった。杉原医師は「健康な人も病める人も同じ夜空を見つめる空間に感動した。1回で終わらせるのではなく今後は花火基金設立に取り組みたい」と夢を描いた。 (坂本彩子)