ソフトウェアの修正をする奥井大貴さん(手前)と多々納俊治さん=松江市西川津町、島根大
ソフトウェアの修正をする奥井大貴さん(手前)と多々納俊治さん=松江市西川津町、島根大

 島根大(松江市西川津町)研究室のチームが開発した障害者向けの視線入力訓練ソフトが全国の特別支援学校などで広がり、利用者から高い評価を得ている。改修費に充てるため、6月にクラウドファンディング(CF)を実施したところ、約500人から850万円以上の寄付が集まった。体が動かせなくても目の動きでパソコンを動かす訓練ができ、重度障害児の保護者から「希望をもらった」との声が寄せられるなど期待は大きい。メンバーはさらなる利便性向上を目指して試行錯誤を続ける。(片山皓平)

 視線入力訓練ソフト「EyeMoT(アイモット)」は、総合理工学部の伊藤史人助教(47)=福祉情報工学=と学生らが2015年に開発。視線を読み取る専用装置をパソコンに取り付け、マウスの代わりに目を動かし、画面上の的や風船に焦点を合わせて撃ち落とす射撃や、塗り絵など12種類のゲームが楽しめる。

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)など、重い障害がある人にとって視線入力は習得が難しいとされているが、ゲームを通じて成功体験を得ながら訓練できるのが特徴だ。ソフトは無償公開している。

 全国に千校以上ある特別支援学校のほとんどで導入されたほか、病院や施設、個人宅でも利用が広がる。把握しているだけでも、ソフトは1日平均200回ほど起動。CFで寄付した利用者も多く「重度障害児でも可能性があると、親に希望を持たせていただいた日のことを忘れられません」といった感謝の言葉が寄せられた。

 一方、ソフトの開発や修正は研究を兼ねて学生らが担っており、現在は島根大大学院修士2年の奥井大貴さん(24)がソフトの修正、同博士課程OBの多々納俊治さん(50)がアドバイザーを務める2人体制。

 CFで得た資金を使って、ソフトの不具合修正やテストをするサポートチームを組織するほか、新しいゲームの開発▽ゲームの活用事例集や紹介ビデオの制作▽貸し出し用のデモ機の準備▽心拍で入力できる装置の開発―などを計画している。

 奥井さんは「より使いやすいものを作っていきたい」と意気込み、伊藤助教は「継続できる体制を整え、みなさんの要望に応えたい」と話している。