作家吉行淳之介が女優宮城まり子との恋を描いた長編に「闇のなかの祝祭」がある。妻ある作家沼田が舞台やテレビで活躍する奈々子と付き合い始める。彼は奈々子によって初の体験をした。「向い合っているだけで充足した心持になる」のだ。

 その奈々子も逢瀬(おうせ)の後の別...