高校生の時から特殊詐欺被害防止の活動を続けてきた警察官がいる。出雲署斐川交番に勤務する尾崎寧々巡査(21)は高校3年で高齢者の詐欺被害防止に向けた講座で講師を務め、島根県警の警察官になった。高校生から安全を守るプロに立場を変え「地域を守りたい」との思いをさらに強くしている。 (古瀬弘治)
尾崎巡査は益田翔陽高の3年生の時、課題研究の一環で特殊詐欺について調べ、「孫世代が高齢者に伝えたい」と益田署が行っていた講座に参加。当時から警察官を目指し、卒業後、警察学校を経て、斐川交番に配属となった。
実質的な勤務開始から約1年、事故の交通整理や事件の初動対応など警察官としての仕事の一歩を着実に踏むなか、特殊詐欺の被害相談も寄せられる。高校生の時に知ることのできなかった「リアルな手口」を知り、改めて卑劣さに触れ、「防ぎたい」という意を強くする。
出雲市内で14日にあった高齢者教室では、介護保険料の還付金詐欺を題材にした寸劇に出演。参加した高齢者約40人に「次だまされるのはあなたかもしれない。不安なことがあれば、すぐに警察に相談してほしい」などと、分かりやすく被害の実情を伝えた。
職務に当たる姿勢を評価する斐川交番の山根一所長(52)は「まだまだスポンジのように吸収できる。自分の力にしてほしい」と今後の成長にも期待を寄せる。尾崎巡査は「地域を守りたいという思いは変わらない。さまざまなことを学び、特殊詐欺や事故などを防げるよう対策を伝えたい」と力を込める。