【西ノ島】西ノ島中学校(島根県西ノ島町美田)のふるさと演劇発表会が17日、島根県西ノ島町浦郷のノアホールであった。近くの日吉神社に伝わる大祭の意義を考えた現代劇と、明治時代に隠岐航路を開いた松浦斌(さかる)を主人公にした創作劇を披露。鑑賞した保護者100人から大きな拍手が送られた。
15年前から続くふるさと教育活動の一環で、全校生徒53人が分担し、舞台出演のほか、裏方の音響、照明も担った。前半の現代劇は、約800年前に近江国(滋賀県)から伝わった日吉神社の田楽「十方拝礼(しゅうはいら)」に取り組む中学生が主人公。踊り手が少なくなる中で伝統の踊りを伝える意義を表現した。
後半の創作劇は、手こぎや帆かけ船しかなかった明治前期、焼火神社の神職だった松浦が、海難事故で漁師の父親を失った子どもとの出会いを機に、英国の蒸気船導入を実現させる物語。議員や漁師に反対されながら、私財を投じて安全な定期航路の就航にこぎ着ける姿を熱演した。
孫2人が出演した同町美田の坂幹子さん(74)は「(前半は)歴史の重みを感じ、継続する大切さを考える機会になった。後半も上手に演じていた」と感嘆。長いせりふの多い松浦役をこなした3年生の白野仁さん(14)は「歴史を初めて知り驚いた。達成感があった」と話した。 (鎌田剛)