クリスマスを過ぎてから届いたパソコンのおもちゃ
クリスマスを過ぎてから届いたパソコンのおもちゃ

 季節外れだが、昨年のクリスマスの話をしたい。3歳の娘は、サンタクロースがプレゼントを持ってくるということは絵本や行事を通じて理解していて、12月に入る頃には「パソコンのおもちゃ」をもらう、と決め、楽しみにしていた。

 人生初の「サンタ」として実物を店頭で確認すると、箱には「対象年齢2歳から」とある。遊べる内容もかなり簡易的なもので、3歳には物足りないだろう、すぐ飽きるよなあ、と判断。パソコンではないがより高度な遊びができそうな「タブレット」のおもちゃに変更した。これが後々、後悔の種となるとは知らず。

 クリスマス前夜。娘は枕元を眺めて「まだこんねえ」「もうすぐくるかな」とワクワクしながら眠りについた。こちらもワクワク、うれしい、楽しい気持ちでいっぱいだった。

 翌朝。「おかあちゃん!サンタさんきてる!」。目をキラキラさせて包装を開ける娘。さぞ喜ぶだろうとニコニコして見ていた娘の表情は、箱を手にした瞬間、明らかに曇った。予想外だった。そこで娘、「ぱしょこん、畳めるやちゅって言ったのに…」。ハッとした。そうか、娘が欲しかったのは、父母が仕事で使っているような「折り畳める」ノートパソコンだったのだ。この瞬間まで、娘の欲しいおもちゃの基準が「畳めるか、畳めないか」にあったなんて、想像もしなかった。箱に書かれている対象年齢や遊べる内容うんぬんではない、「畳めない」ことが許せない様子だった。親子ともに、しょんぼりした朝になった。

 後日、保有していたショッピングサイトのポイントを利用し、パソコンのおもちゃを購入した。届いたそれを娘は早速、脇に抱え、片手に縫いぐるみを持ち、「はい、お願いします。じゃあね」と保育所に預けるまねをした。それから机に向かって「パソコン」を開いて「仕事」を始めた。

 そうか!君はこれがしたかったんだ。父や母がいつもしていることを、まねしたかったんだね。子どもの素直な「欲しい」気持ちを無視したサンタの忖度(そんたく)は大失敗。子どもの「欲しい」をありのまま受け止めること。基本の「き」を肝に銘じた2020年のクリスマスだった。

 (文化生活部・増田枝里子)

  =毎週土曜掲載=

 …………………………… 

 <感想募集>連載への感想をお寄せください。文化生活部=ファクス0852(32)3520。メールはkurashi@sanin―chuo.co.jp。LINEはQRコードから。