国内初展示の飾り金具「長命鎖」(大田市教育委員会提供)
国内初展示の飾り金具「長命鎖」(大田市教育委員会提供)
湯治の歴史が分かる資料を見る来場者=大田市大森町、いも代官ミュージアム
湯治の歴史が分かる資料を見る来場者=大田市大森町、いも代官ミュージアム
国内初展示の飾り金具「長命鎖」(大田市教育委員会提供)
湯治の歴史が分かる資料を見る来場者=大田市大森町、いも代官ミュージアム

 大航海時代に銀を積み出し、世界への窓口として栄えた石見銀山の物流拠点・温泉津(大田市)に注目した企画展が29日、大田市内3施設で始まった。国内初展示の飾り金具をはじめ、温泉津温泉が湯治場として多くの人に重宝された歴史が分かる資料など100点が並び、かつての「国際貿易港」の活気を伝える。 (曽田元気)

 温泉津へ周遊を促そうと「銀の島とゆのつ」の企画展名で石見銀山世界遺産センター(大森町)、いも代官ミュージアム(同)、ゆう・ゆう館(温泉津町温泉津)を会場に開き、各施設でテーマを決め展示した。

 海外交流をテーマとする世界遺産センターでは、花やミツバチが細工された明・清時代の合金の首飾り「長命鎖(ちょうめいさ)」(縦3センチ、横4・5センチ)を国内初展示。中国では無病息災を願う装飾品だったという。

 温泉を切り口にしたいも代官ミュージアムでは湯治客の氏名、住所などが記載され、年間2万人に達した1817年の入湯人覚帳(にゅうとうにんおぼえちょう)を初公開。ゆう・ゆう館では海路から鉄路となる交通機関の変化を伝えている。

 山口県下関市の無職中村由哉さん(64)は「いろんな貿易の様子が分かり良かった」と話した。

 世界遺産センターを中心に進める温泉津の調査研究の成果がある程度まとまり、展示は県教育委員会や市教委、市、NPO法人石見銀山資料館が世界遺産登録15周年記念で企画。県文化財課の倉恒康一専門研究員は「外国とのつながりがあって銀山が発展しただけに、温泉津は重要なポイント。ぜひ目を向けてほしい」と話した。

 11月28日まで。入館料や休館日はセンターのホームページなどで確認できる。