新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける医療従事者=松江市内
新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける医療従事者=松江市内

 新型コロナワクチンで2回目の接種後の副反応が目立つ。国の調査では1回目と比べ発熱が10倍、倦怠(けんたい)感が3倍と症状を訴える人が増える。島根県内の医療機関でも先行接種する医療従事者に同様な傾向がある。接種期間に幅のある大規模の病院は副反応が出ても業務に支障がないよう分散接種など工夫するが、小規模の診療所は限られた指定日にまとめて接種せざるを得ず、ただでさえスタッフが少ない中、苦慮している。 (多賀芳文)

 現在、国から配分されている米ファイザー社製のワクチンは3週間の間隔を開けて2回の接種が必要。

 国の調査によると、接種後の副反応は、37・5度以上の高熱が1回目は3・3%だったのに対し、2回目は35・6%に激増。倦怠感も23・2%から67・3%と大幅に増えた。

 実際、接種を終えた松江赤十字病院(松江市)でも、2回目は発熱や倦怠感を訴えるスタッフが増え「全国のデータと同様の傾向が出た」(担当者)。副反応が出た場合に備え、4月8日から8日間の2回目接種期間中に院内各部で「先発隊」「後発隊」を設けて分散を図った。

 大田市立病院は、外来患者がいない休日前の接種を勧めたり、勤務シフトのやりくりで接種後の休日を設けたりと工夫した。その結果、副反応を訴えるスタッフは出たものの、運営に支障はなかった。

 一方、人手が少ない上に指定の接種期間が1日単位の小規模の診療所は、難しい対応を迫られる。

 松江市内の開業医や歯科医師ら計約2500人の医療従事者を統括する市医師会は、4月21日~5月16日までの土日曜、計6日間で割り当てを調整している。

 高齢者や一般向けの接種を控え、担い手の医療従事者が早く接種を終えないといけない中、「どうしてもタイトになる」と河原賢事務局長は苦慮する。2回目は副反応が出やすく、解熱剤を服用してもいいことを伝えるのが精いっぱいだ。

 同市黒田町の泉胃腸科医院は4月22日、ほぼ全員の11人が2回目の接種を受けた。翌日に発熱と体調不良で2人が休み、3人が早退し、戦力の半分が失われた。泉大輔院長(38)は「可能なら分散接種がありがたいが、急がなければならない。現場で耐えるしかない」と話した。