新型コロナウイルス禍で中止や規模縮小が続いていた山陰両県内の大学の学園祭が今年、3年ぶりに対面開催される。実行委員を務めるのはコロナ禍前の学園祭を経験してない学生がほとんどだが、一大イベントを後輩につなげようと、感染症対策に気を配りつつ準備に熱を入れている。 (中島諒、宮廻裕樹)
島根大(松江市西川津町)の「淞風祭」は9、10両日に開催する。2020年は中止、21年はオンライン開催だったが、今年は学外の来場者を事前予約制にした上での対面開催を決めた。バンド演奏や歌唱大会といったステージイベントのほか、専用に立ち上げたサイト上でも当日の様子を伝える。
実行委の学生約50人はほぼ1、2年が占める。学園祭はバンド演奏や屋台が学内を彩り、学生生活を象徴するイベントだが、入学以来、その醍醐味(だいごみ)を味わうことができていなかった。委員はコロナ禍前の様子を知る4年の先輩から、当時の様子や運営方法を聞きながら手探りで準備を続けた。
本番は両日とも飲食物の屋台を中止し、学外の来場者は予約制で1日1100人を上限にする。一方、祭のサイトと連動した企画を設けるなど新たな取り組みに力を入れる。2年の西中陽希実行委員長(19)は「コロナ禍前の再現は難しいが、今年ならではの催しで盛り上げて来年につなげたい」と腕をまくる。
県立大浜田キャンパス(浜田市野原町)も3年ぶりに学外の来場者を招いた「海遊祭」を9、10両日に開く。ダンスや石見神楽のステージイベントを企画し、特に混雑が予想されるお笑い芸人のライブについては300人に入場者を制限し、事前配布する整理券で指定席を用意して密集を防ぐ。
学内サークルのほか、浜田市内の団体も含めて飲食物の模擬店など15の店舗が出店する予定。海遊祭実行部の2年松本陸部長(20)は「来場者を笑顔にする引き金になるような大学祭にしたい」と話す。
このほか、鳥取大(鳥取市湖山町南4丁目)の「風紋祭」も学外の来場者を予約制にした上で8~10日に開催する。