私が短歌を作り始めたのは30代半ば、末の子が保育所に通い始め、子育てに一段落ついた頃である。3人の子どもと夫を送り出し朝の食器を洗っている時、不意にむなしい気持ちに襲われた。その時〝何となく心寂しき日のありて〟の上句の言葉がすっと口をついて出た。「...