原子力防災支援拠点が整備される山陰道(後方)近くの鳥取県有地=鳥取市松原
原子力防災支援拠点が整備される山陰道(後方)近くの鳥取県有地=鳥取市松原

 鳥取県が2022年春をめどに、中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)の重大事故に備えた原子力防災支援拠点を鳥取市松原に整備する。住民避難時の検査会場開設に必要な資機材を一括保管する。予定地は、山陰道吉岡温泉インターチェンジ(IC)近くで交通の便が良く、事故の際に迅速に運び、円滑な検査実施につなげる。

 予定地は島根原発から約120キロ離れた県有地約4100平方メートル。計画では、鉄骨造り平屋726平方メートルの資機材保管倉庫のほか、屋外に資機材手入れや訓練を行うヤードを整える。実施設計を進めており、今秋ごろ着工する。総事業費は約2億円を見込む。

 県の広域住民避難計画では、自家用車かバスで避難する際、汚染された車が避難先に放射性物質を持ち込まないよう、検査会場を通ることになっている。

 県は検査会場として主に県西部8カ所を選定。必要と判断した場合、速やかに検査会場を開設することにしており、開設が遅れれば避難の車が渋滞し、混乱する恐れがある。支援拠点の予定地は山陰道に近く、輸送を担う運送業者が鳥取市内に多いことを考慮した。

 資機材は防護服や線量計、発電機、作業机など1会場当たり約60種2千点あり、すぐに使えるよう用途別にコンテナに分けて保管する。現在は予定地に資機材入りのコンテナを仮置きし、同市内の貸倉庫にも保管しているという。

 県危機管理局の水中進一原子力安全対策監は「避難の障害をなくすため、資機材を円滑に運び、避難と同時に検査会場を開設できるようにしたい」と話した。

       (福間崇広)