会場となる町並みで客の動線などを打ち合わせる日高晃作代表(左)と木村康司さん=大田市大森町
会場となる町並みで客の動線などを打ち合わせる日高晃作代表(左)と木村康司さん=大田市大森町

 全国各地からすご腕の料理人が集い、世界遺産石見銀山遺跡の中心地・大田市大森町の町並みを舞台に料理を提供する「旅するひと皿」が29、30の両日に開かれる。歴史的建造物で飲食できるだけでなく、住民の協力を得て家の縁側で、珠玉の逸品と情緒豊かな景色を同時に楽しむ、大森ならではの趣向だ。

 初開催の2016年は1日1千人以上が訪れ盛況だった。住民、料理人から2回目を望む声が多く、地域組織「石見銀山みらいコンソーシアム」を中心とする実行委員会が企画。実行委の人脈などを頼りに、予約が難しかったり、ミシュランガイドで高評価を得たりした人気の料理人が勢ぞろい。22人が和食やフレンチなどで腕を振るう。

 町並みは江戸の雰囲気を今に伝え、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。イベントは国指定重要文化財の熊谷家住宅や、普段は非公開の金森家住宅、古民家など8カ所を活用。家々にある縁側で料理を味わってもらう。大森町でドイツパン専門店を営み、自らも出店する実行委の日高晃作代表(41)は「大森のブランド力向上につなげたい」と意気込み、地元商店への波及効果に期待する。

 11日はミシュランで二つ星を獲得した「すし〓(品の口がそれぞれ七)邑(きむら)」(東京都)を営む木村康司さん(50)が訪問。金森家住宅で調理道具の設置場所や客の動線を確認した。名古屋の天ぷら、松江のフレンチとともにオリジナルの手巻きずしを3千円で1日1千食、提供する計画で、木村さんは「こんなに素晴らしい場所でイベント参加できるのは料理人冥利(みょうり)に尽きる。多くの人に食べてほしい」と話した。

 イベントは午前11時~午後4時。全体的な料理の価格帯は1千~3千円。両日とも混雑が予想されるため、実行委は石見銀山世界遺産センターの駐車場の使用を呼びかけている。

 (曽田元気)