【出雲】甲冑(かっちゅう)の胴をまとって相撲の所作をする、珍しい相撲神事が9日、出雲市鹿園寺町の山口神社であった。約450年の伝統がある行事に地元住民は、五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を願った。
神事は災害が起きないよう、氏子が神社に甲冑の胴や矛を奉納したのが始まりとされ、毎年、秋の例大祭で氏子を東西に分け、それぞれ力士役と行司役の男性2人によって営まれる。
4人の氏子が神社近くを流れる境川で身を清め、社殿でよろいを着けて向かい合った。はかま姿の行司役が脇に立つと、力士役の2人が「ヤー」とかけ声を上げて体をぶつけ合った。
力士役を務めた地元の建築業、持田稔樹さん(64)は「家族や周囲の人の無事を祈りながらぶつかった」と話した。 (黒沢悠太)