5年前に仙台市で開かれた全国和牛能力共進会(全共)の会場で、鳥取県の躍進を目の当たりにした。関係者は本当に胸をなで下ろしていた。次の開催地は鹿児島県。苦戦は避けられないと皆が踏んでいたからだ。鹿児島は宮崎県と全国1、2位を争う大規模産地。開催地の意地もかけて厚い層から出品牛を選抜し、上位を目指す。だからこそ勝負は仙台で、というのが鳥取の思い。低迷続きの島根県も「次の次」の全共へのステップと鹿児島大会を位置付けた。

 だから今回の鹿児島全共は冷静な目で審査の推移を見守ったが、結果は驚きの連続だった。まずは島根の総合評価群(6区)3位入賞。繁殖雌牛4頭の姿や発育具合を採点し、肥育牛3頭を枝肉に加工して肉の数値を調べる団体戦で、産地としての力量が問われる花形部門だ。そこで「しまね和牛」が復権を果たした。

 総合評価群トップを目指した鳥取は10位と低迷したが、...