温泉保養施設「うなばら荘」(鳥取県日吉津村今吉)にアスリート向け施設の整備を計画していた、書店経営のヤードクリエイション(米子市皆生4丁目)が、事業を中止することが17日、分かった。新型コロナウイルス禍が長引き集客が見込めないことや、ウクライナ情勢に伴う建築資材の高騰が要因という。
うなばら荘を所有していた鳥取県西部広域行政管理組合が同日の正副管理者会議で、明らかにした。
組合によると、ヤードクリエイションはうなばら荘の近くで開催される、知名度の高い全日本トライアスロン皆生大会のイメージを生かして集客を図り、自転車を持ち込める宿泊部屋やトレーニングジム、健康食を提供するカフェやレストランなどを新設する計画を立てていた。
ところがコロナ禍に加え、建築資材の高騰で修繕、改修費が増大。収支計画を見直すと年4千万円以上の赤字が見込まれると分かり、事業を断念したという。同社側から9月20日に組合と日吉津村に書面で通知があり、代理人弁護士が26日に日吉津村、27日に組合に事業中止を説明した。
うなばら荘は約1万2千方メートルの敷地に鉄筋コンクリート2階建ての本館(延べ床面積約3千平方メートル)や庭園などがある。組合が経営状況の悪化で譲渡を決め、譲渡先の公募で同社のみが応じた。昨秋、優先交渉先に正式決定し、今年2月に組合と売買契約を結んだ。
同社は今後、組合へ建物の返還や売買契約の解除を申し出るか、第三者への譲渡を想定しており、日吉津村と組合は対応を検討している。代理人弁護士は事実関係を認めた上で「現時点でお話しできることはない」と述べるにとどめた。現在、組合には建物に興味を示す複数の事業者から問い合わせがあるという。













