松江石油が事業を引き継いだボウリング場=浜田市浅井町
松江石油が事業を引き継いだボウリング場=浜田市浅井町

 石油小売りの松江石油(株)(松江市東朝日町、飯盛勝社長)が、経営難に陥った娯楽業の(株)浜田昭石(浜田市浅井町)と石油製品販売の(株)浜昭(同)の事業を引き継ぎ、浜田市内でガソリンスタンドの運営のほか、ボウリングやカラオケといったアミューズメント業、弁当販売の飲食業に乗り出した。

 浜田昭石と関連会社の浜昭(同)は、(株)島根銀行や島根県中小企業活性化協議会の関与の下で8月、私的整理による事業再建計画が成立した。浜昭を存続会社とし、浜田昭石の事業を引き継いだ上で全株式を松江石油に譲渡。浜田昭石は債務整理の後に清算する。

 島根銀からスポンサー企業になってほしいと昨年10月に打診を受けた松江石油は検討を開始。未経験の娯楽や飲食への参入にためらいもあった。一方の浜田昭石側は、契約する県外の大手コンサルを通じた県外への売却計画を並行して進行中だった。

 計画ではガソリンスタンド以外の事業をやめる考えだったため、島根銀などが同社の当時社長への説得を重ねる傍らで、松江石油も島根県西部の雇用とインフラの維持のため買収を決断し、9月1日に成立。事業を引き継ぎ、全従業員の雇用も守った。

 今後は新型コロナウイルス禍で激減したボウリングなどの客足回復に向けて新しい集客策の構築を急ぐ考えで、飯盛社長は「口を開けて待つのではなく、こちらから来てもらうような商売を積極的に行い、黒字化を目指す」と強調。浜田昭石で約10年行われなかった新卒の採用に力を入れたいという。

 東京商工リサーチ松江支店などによると、浜田昭石の売上高は2007年7月期に約20億円だったが、20年7月期には10億6千万円に落ち込んだ。21年までに浜昭へ事業を移した燃料販売の不振に加え、ボウリング場やカラオケボックスもコロナ禍で急減していた。